佐々木望の東大Days

東大法学部を卒業した声優に、スタッフがまだもうちょっと聞いてみたいこと
〜東大Days 総括編〜 ①

東京大学法学部をこの3月に卒業されて、早くも半年以上経ちましたが、今年は世界的に大変なことになってしまっていますね。
お仕事や生活などにも影響が出たりされたと思いますが……

そうですね。今年はいくつか公演やイベントの企画を考えてはいたんですが、今のところ全部延期状態です。
声の仕事の方は、スタジオはどうしても密になるので、制作の方々も私たちも皆すごく気を遣って、慎重に収録作業をしています。

社会全体的には自粛期間ということではあったんでしょうけど、個人的には、春に東大卒業を発表してから、取材していただいたりラジオに呼んでいただいたり、その他にもいろいろと声をかけていただいたりして、新しくお知り合いになる方々も増えて、意外と目まぐるしく時間が過ぎていった感覚もあります。



卒業後、伊集院光さんの「伊集院光とラジオと」、戸田恵子さんの「戸田恵子 オトナクオリティ」にゲスト出演

すごくニュースになってましたしね! 東大卒声優さんとしての新たな展開も楽しみにしています。
お勉強の方は、ご卒業後もずっと続けていらっしゃるんですよね?
ええ。勉強は続けています。
法律科目は今ちょっとだけ休み気味にしてますけど、この春から新しくラテン語の勉強を始めてます。
ここでまた新しい勉強を始められるなんてすごい! そういう人だから東大に行かれたんだなあと思います。
さて今日は、佐々木さんの東大生活、まさに「東大Days」を振り返って、また少しお話を伺わせてください。
総括的なことでも、言い忘れてたことでもいいですよ!(笑)
はい、よろしくお願いします!

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東大の「懐の深さ」
東大はもちろん国内トップの大学ですけど、あらためて佐々木さんから見た東大の良いところってなんですか?
他を知らないので、東大がそうなのか大学というものがそういうものなのかわからないんですけど、東大は、学ぶ意欲を示す学生に対して、すごく鷹揚に開いてくれますね。
「勉強したいならいくらでもしなさい、いいよいいよ」って。
キャンパスにいると、東大自体がそういうメッセージを送ってくれているような、そんな空気を肌で感じるんです。
好きなだけ勉強していいよって。
威厳と鷹揚さを持ち合わせている巨大な知の機関、ですね。
学生さんが学ぶことを応援してくれるのを肌で感じられるなんて、さすが東大ですね。

蔵書数とか設備とかの学習環境はすごく充実してますしね。
応援といえば、先生方もそうなんです。
だいたいどの先生も門を叩けば開いてくださるというか、熱心な学生には時間を割いて応えてくださる先生が多かったです。
質問しに行ったりとか、課題にプラスして自分の考えたことを申し上げてみるとか、そういう姿勢を学生から見せていけば、丁寧に答えてくださったり、さらに進んだ勉強をするためのヒントを教えてくださったり、忙しい中でも面談に応じてくださったり。

私もたくさんの先生方にお世話になりました。
教養学部のときは、スペイン語の担任の先生の研究室に遊びに行って、3時間くらいラテンアメリカ文学のお話を伺ったりしました。

3時間?!

先生、迷惑だったかな。すみません(笑)。
でも楽しかったです。懐かしいです。

1年生夏学期に履修した英語の授業の先生は、ジャーナリストの方でもあるんですけど、それ以来ずっと本当にかわいがっていただいてます。
私にとってメンターのような存在の方で、定期的に食事をご一緒したりして、相談や近況報告なんかをしています。
今年は状況的になかなかお会いできなくて寂しいんですけどね。

大学も先生も、学びたいと求める学生には、惜しみなく与えてくださろうとするのですね。

こちらの熱意に応じて、大学も先生もいくらでも応えてくださるという、なんというか懐の深さが東大と先生方にはありますね。

それとは別に、研究機関として面白いところとしては、学際的で文理融合的な研究が行われていることです。
たとえば、東大(大学院)の法学政治学研究科では、先端融合分野の研究として、法的判断の際の脳の神経の活動を解明しようとする fMRIを使った実験が行われてたりするんです。
※ fMRI (functional magnetic resonance imaging:機能的磁気画像共鳴法)は、MRI装置を使用して脳の活動を画像化する方法です。

他にも、少年院や刑務所における犬のトレーニングの科学的な研究なんかも。
すごく興味深くないですか?

法学部の研究科でそんな科学的な実験もされているのですね! 面白そうです!!
東大には人も情報も集まるんだなと実感する機会がよくありました。
国内外の研究者の先生方や実務家の方の講演会も多くて、レベルの高い、興味深いお話を聴けるんです。
2015年にキャロライン・ケネディ駐日米国大使(当時)が駒場の学生たちとディスカッションをされて、その年の夏にはアメリカ連邦最高裁のジョン・ロバーツ長官が本郷にいらっしゃって講演をされました。
私はラッキーなことにどちらにも参加できて、とても感動しました!
普通はまずお会いできないようなお立場の方々から貴重なお話が聴けるんですね!

学生として、そういう機会はできるだけ逃さず参加するようにしてました。
東大法学部の中でもいろいろな講演や講座があるんです。
中でも、毎年夏に開催されていた「ヘボン=渋沢記念講座」は楽しみでした。
これは1918年に、東京帝国大学法学部の時代ですね、アメリカの銀行家ヘボン氏によって寄付された、歴史ある講座なんです。
日本と海外の名だたる先生方によるシンポジウムで、私にはとてもじゃないですが内容的に高度すぎるんですが、学部生の参加も可能ということだったのでどんどん行って拝聴してました。

ちなみに、ヘボン講座のヘボンさん(Alonzo Barton Hepburn)は、あのヘボン式ローマ字を開発したヘボンさん(James Curtis Hepburn)の親戚なんだそうです。

ヘボン式! なんだかそうじゃないかと思ってました(笑)。
あはは。
そうか、やっぱり大学って学ぶところなんだなっていうことを、そういった機会に実際に何度も感じました。
大学生は、卒業して社会に出たらすぐ現場の仕事を実践、という立場になる方が多いかと思いますけど、たとえ大学で学んだことが直接すぐ仕事に結びつかなくても、やっぱり学ぶためだけの場所は大切ですよね。
そうですね。人生において、学べる環境にいられるのがどれだけありがたいことか、今すごく感じています。
私の場合は職業をもちながら大学に行ったので、卒業後の就職や進学を考えないといけないという多くの大学生にとっての大変な道とは違っていましたから、その辺りの苦労をせずにただただ勉強をするために大学に来られたわけで、本当にぜいたくな経験をすることを許してもらったんだなあ、とつくづく思います。

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留学と寮生活と缶詰工場
東大は「Go Global」をスローガンにしていて、留学プログラムも豊富に用意されてるんです。
私は、大学1年生の夏休みのサマープログラムでUCLA(カリフォルニア大学)のサンディエゴ校に行きました。
留学! それは東大生として行くプログラムなんですか?
そうなんです。東大生としてまとまって参加するんです。
行き帰りの飛行機なんかは各自でチケットを手配して勝手に行って勝手に帰るんですけどね。
東大が提携している大学がアメリカにもアジアにもヨーロッパにもたくさんあって、行きたい大学を自分で選んで申し込むんです。
夏休みに合わせたプログラムは期間が短くて参加しやすいので、せっかくなら!と思って参加しました。
そんなシステムがあるんですね!


寮から自転車で行ってみたサンディエゴのビーチ


友人とサンディエゴの海岸で見た日没

団体でいるので、滞在中のトータル的には英語を使うよりも日本語で話す方がどうしても多くなってしまって、単独で留学するのに比べると「留学した感」がちょっと薄まるんですけどね。

そうそう、留学の間はキャンパスの中に建っている学生寮に寝泊まりしたんです。
同じ東大一年生(当時)の方と二人部屋でした。

うわー、寮生活! それ、リアル「グリーン・ウッド」じゃないですか(興奮)!
あ、すみません、つい(笑)。
※ 那州雪絵先生原作アニメ「ここはグリーン・ウッド」で、佐々木望は主人公・蓮川一也を演じています。蓮川たちが暮らす男子学生寮「緑林寮(グリーン・ウッド)」を舞台にした作品です。
人生初の相部屋寮生活ですよ。
自分が寮で暮らしているという状況がもう不思議で不思議で面白すぎました(笑)。
そのまま漫画の主人公みたいです(笑)。
いやあ、すっごく面白かったですよ!
フィクションで読んだり観たりしてきた寮生活というものを自分で体験できて嬉しかったです。
夜、ルームメイトはもう寝てるのに自分は明日締切の課題が終わってなくて、部屋の電気は消しますけどスタンドの電気だけ付けさせてもらって、音にも光にも遠慮しながらPCを打ってたりしました(笑)。
朝は一緒に起きて食堂に朝ごはんを食べに行って。


深夜、寮の部屋で翌日提出するプレゼンの草稿を書いていたら眠すぎて気絶→気力を振り絞って復活→眠すぎて気絶の繰り返し。面白いので、キーボードに指を置いたまま突っ伏していた痕跡を保存していた(この後ちゃんと清書)

うわあ、聞いてるだけでもすっごく面白いです!
佐々木さんとの寮生活がどんなだったのか、ルームメイトの東大生の方にも聞いてみたいくらいです(笑)。
同じ時期に北京大学からも留学生が来ていたので、授業や課外活動で一緒になることもありました。
チャイ語(大学で学ぶ第2外国語の中国語)選択の人は積極的に中国語で会話して交流していて。
私は中国語が話せませんけど、仲良くなりたかったので、ずうずうしく近づいて英語と漢字で意思疎通してました。
漢字、通じます! 当たり前ですね(笑)。
まさにグローバルですね! 授業はどんなだったんですか?
UCLAの先生による法学社会学系の講義が中心で、他に英語でのディスカッションや単独スピーチの授業もありました。
課外授業で裁判所見学にも行きました。
判事さんにお話を聞いたりして。
法壇に上がって裁判官席にも座らせてもらいました(笑)。
いろんな国の裁判所に行かれている!(笑)
この留学で、同じ文一(文科一類)で同学年の方と意気投合して、サンディエゴでは2人でバスに乗ってショッピングセンターに買い物に行ったり、いろいろと一緒に冒険をしたんです。
2人ともスペ語(スペイン語)選択だったので、留学中スペイン語交じりの英語で会話したりもしてました。
すごくサンディエゴっぽいですね!

サンディエゴは実際メキシコと近いですし、そもそもカリフォルニア州はスペイン領、メキシコ領だったので、今も地名なんかがスペイン語系だったりするんですよね。
スペイン語を話す人も多いですし。
あっ、サンディエゴ(San Diego)って名前自体スペイン語ですしね。
※ San DiegoのSanは「聖」、Diegoは「ヤコブ」を意味します。

それで、その友だちとは留学中にすっかり仲良くなって、帰国してからは駒場でスペイン語会話の授業を一緒に受けたりしてました。
すごく賢くて優秀で、面白い人で、一緒にいると勉強でもそれ以外でも刺激を受けました。
法学部に進学してからも付き合いが続いて、今もたまに会ってるんです。
今、弁護士さんなんですけどね。

お友だちもすごいですし、そういうお友だちができる佐々木さんもすごいです、もう。

このサンディエゴ留学は、勉強のためだけでなくて、大学生としてできる体験はできるだけやりたいという動機で参加したので、今ここでできること、ここでしかできないかもしれないことに重点をおきました。
だから、授業が終わるとほぼ毎日サンディエゴの街に出かけて歩き回って、いろんなところを見学してました。

ダウンタウンでは、本物の空母が建物になっているミッドウェイ博物館に行ったり、ペトコ・パーク(球場)で地元のサンディエゴ・パドレスの試合を観たりしました。


球場のキティちゃん。サンディエゴ・パドレスとハローキティのコラボ開催中(当時)


ペトコ・パークでMLBを観戦

他に、オールドタウンという、サンディエゴ発祥の地も面白かったです。
メキシコ領だった1800年代からの文化や歴史を見学できたりします。
ここは、街並みも雰囲気もレストランなんかも、何もかもがメキシカンな感じなんです。

バルボア・パークという公園には何度も通いました。
公園の中に超巨大な動物園や、美術館、博物館、植物園もあるので、とても一日二日では見終わらないんです。
パーク内を回っているときに、元日本人で長年アメリカに住んでいらっしゃる方と偶然知り合いになって、公園のベンチに座ってサンディエゴの歴史を教えてもらったりしました。

バルボア・パークでは、退役軍人博物館が思い出深いです。
閉館時間までに間に合うように調べてから行ったんですけど、ちょうどその日はイレギュラーだったみたいで、入り口に着いたら「今日はもう閉めたからまた明日おいで」と言われました。
ここはどうしても観たかったので、「ああ私は日本から来た留学生なんですけど明日はもう日本に帰らないと行けないので来たくても来られないんです。なんて残念なんだろう。あああとても楽しみにしてたんですこの退役軍人博物館を見学するのを。あの私日本から来た留学生なんですけどあああ見たかった残念です残念ですなんて残念なんだろうもっと早く来られていたらよかったのにでもほら私日本から来た留学生なので大学の授業に出なくてはならなくて授業が終わって急いで来たんですけどあああ閉まってしまったんですかあああああなんて残念なんだろおおおおおーん」って言い続けたら、「わかったわかった10分だけだからな」って入れてくださって(笑)。

……。それ、全部英語でおっしゃったんですよね。すごい……。
英語が伝わったんじゃなくて、変なやつがなんか必死で言ってるからわかったわかった入れ、ってことだったのかも(笑)。
あのときの退役軍人の方、見学を許可してくださってありがとうございました。
本当に強引ですみませんでした、ってここで言って済むものじゃないですけど(笑)。
後で考えて、その方の終業時間を超えて労働をさせてしまったことを申し訳なく思いました。
それなのに、とても親切に中の説明をしてくださったりして。
後で手紙は出したんですが、もしいつかまたあそこに行ける日が来たら、お会いしてお礼を言いたいです。
こういうときにお手紙を出されるんですね。
佐々木さんのそういうお人柄が伝わったから、その方は時間外でも入れてくださったのかも……。

サンディエゴ校のキャンパスは、学ぶにしても暮らすにしても、居心地がよかったです。
ただ、広大なので、キャンパスの中を移動するのにも時間がかかるんですけどね。
ちょっと本とかグッズとかを買いにキャンパス・ショップに行くのでも、寮から歩くと片道20分とか、迷うと30分とかかかってました。

ガイゼル・ライブラリー(Geisel Library)という図書館が、宇宙ステーションみたいでものすごくかっこいいんです。
セオドア・スース・ガイゼルさんというアメリカの絵本作家にちなんだ名称なんですけど、この方がドクター・スースという名前で出された絵本は、私が英語の勉強に使ったことのある本だったりして、なんとも嬉しいつながりでした。
※ Dr. Seuss, Green Eggs and Ham, Random House Books for Young Readers, 1960.

留学プログラムは2週間だったかな、それが終わると皆それぞれ勝手に帰国するんですけど、私はサンディエゴからモントレーに行きました。
モントレーもカリフォルニア州にあるんです。

それは何か目的が?
はい。目的がありありで!

佐々木望のアメリカ西海岸旅行記(簡易版)を読みたい方はコチラ

ここからはインタビューを離れてアメリカ西海岸旅行記(簡易版)となります(唐突)

私、ジョン・スタインベックが大大大好きでして!
代表的な作品は『怒りの葡萄』とか『ハツカネズミと人間』とか『エデンの東』とかですね。
写真家キャパと組んだロシア紀行もすごくお薦めです!
※ ジョン・スタインベック著、黒原敏行訳『怒りの葡萄〔新訳版〕(上・下)』早川書房、2014年
※ ジョン・スタインベック著、大浦暁生訳『ハツカネズミと人間』新潮社、1994年
※ ジョン・スタインベック著、土屋政雄訳『エデンの東〔新訳版〕(1〜4) 』早川書房、2008年
※ John Steinbeck, A Russian Journal with photographs by Robert Capa, Penguin Modern Classics, 2011.

スタインベックはモントレー郡のサリナスという町で生まれました。
せっかくカリフォルニアに来てるんだから、この機会に行かねばいつ行くんだ!ということで、モントレーとサリナスを回ってスタインベックの博物館や生家などを見てきました。
※ The National Steinbeck Center https://www.steinbeck.org
※ The Steinbeck House  http://steinbeckhouse.com


モントレーからバスで約1時間、こぢんまりとしたサリナスの町

『エデンの東』は舞台がサリナスなんです。
それから、これもスタインベックの小説なんですが、『キャナリー・ロウ』の舞台はモントレーですね。
スタインベック自身もモントレーに住んでいた時期があったみたいです。
どちらの小説も映画になっています。
※ ジョン・スタインベック著、井上謙治訳『キャナリー・ロウ ―缶詰横町』福武書店、1989年
※ John Steinbeck, Cannery Row, Penguin Modern Classics, 2017.
※ 「エデンの東」(1955年)監督エリア・カザン、主演ジェームズ・ディーン
※「キャナリー・ロウ(邦題「吹きだまりの町」)」(1982年)監督デヴィッド・S・ウォード、主演ニック・ノルティ、デブラ・ウィンガー

サリナスにはモントレーからバスで行きました。
着いたときは感動しましたね。
子どもの頃から小説で親しんできたあの場所に自分は今いるんだ、と思って。
朝食のために入ったFirst Awakeningsというレストランのパンケーキがすさまじく美味でした。
※ First Awakenings https://firstawakenings.net

スタインベック・センターは、作品を多く読んでいるほど見応えがある展示でした。
日本からわざわざ来てくれたのねと、受付の方からスタインベックのポスターをいただきました(サンディエゴから来たんですと言うべきだったでしょうか)。

裁判所、郵便局、図書館、教会などを回りました。
ある教会の前で出会ったご婦人としばらく話をしたんですが、その方がスタインベックのお身内の方だったと後で知って驚きました。

翌日はモントレーの探索です。
モントレーの海沿いを長く延びる通りをキャナリー・ロウといいます。
もともとここはイワシの缶詰工場地帯だったんです。
canneryのcanは缶詰のcanですね。
今も工場の名残りがあるところもありますし、跡地の一角にはモントレー・ベイという水族館が建ってたりもします。
※ Monterey Bay Aquarium https://www.montereybayaquarium.org

ここキャナリー・ロウは、いろいろな映画のロケ地になってるんです。
「キャナリー・ロウ」の他にも、「恐怖のメロディ」や「熱い夜の疼き」など。
観た当時はモントレーで撮影されたとは知らなかったんですが、どれも好きな映画なのでちょっと嬉しいですね。
※「恐怖のメロディ」(1971年)監督・主演クリント・イーストウッド
※「熱い夜の疼き」(1952年)監督フリッツ・ラング、主演バーバラ・スタンウィック


スタインベックの生家はレストランとしても営業


キャナリー・ロウのスタインベック・プラザに立つ胸像を拝む


今はカフェやショップに改装されているモントレーの缶詰工場


シーフード・レストランや土産物ショップが並ぶモントレーのフィッシャーマンズ・ワーフからはホエール・ウォッチングにも出かけられる


緑豊かな美しい庭園をもつカーメル・ミッション・バジリカは18世紀にスペインの伝道師によって建てられた

モントレー半島の南側にある、カーメルという小さな町にも行きました。
ここは芸術家の町と言われています。
クリント・イーストウッドが市長を務めたこともあって、映画ファン、イーストウッドファンとしては、ここも当然行かないとです!

カーメルには信号がないんです。高い建物も、看板も、ネオンも。
静かで上品な町でした。
スペイン領時代の建物がそのまま保存されていたりします。
町の中心地から、カーメル・ミッション・バジリカという有名な教会まで歩きました。
ちょうどミサをやっているところでした。
スペイン様式の建物と庭園とが青空に映えて見事でした。
※ Carmel Mission Basilica https://carmelmission.org


サンディエゴからサンフランシスコにかけてのアメリカ西海岸

次の日はサンフランシスコに移動しました。
フェリーでアルカトラズ島を見に行きました。
ここには、かつてアルカトラズ連邦刑務所があったんですよね。
「アルカトラズからの脱出」という映画が好きです。
これもアルカトラズ刑務所が舞台の映画なんですが、「終身犯」もとてもいいです。
刑務所ものや脱出ものが好きなんです(笑)。
※ Alcatraz Island https://www.nps.gov/alca/index.htm
※「アルカトラズからの脱出」(1979年)監督ドン・シーゲル、主演クリント・イーストウッド
※ 「終身犯」(1962年)監督ジョン・フランケンハイマー、主演バート・ランカスター

ちなみに脱出系映画では、「穴」というフランス映画もいいですね!
原作者ジョゼ・ジョバンニは作家としても映画監督としても好きです。
※ 「穴」(1960年)監督ジャック・ベッケル
※ ジョゼ・ジョバンニ著、岡村孝一訳『穴』、早川書房、1970年

サンフランシスコにあるシティライツ・ブックストアという書店は、ビートニクの拠点と言われています。
ケルアックやバロウズといったビート・ジェネレーションの作家を愛読していたので、ここも憧れの場所でした。
シティライツ・ブックストアで3時間くらい本をブラウズして過ごしました。
近隣のビート・ミュージアムではビート・ジェネレーション関連の展示物を堪能しました。
※ ビートニク(beatnik)とは、1950〜60年代のアメリカで活発になった文学運動に関わったり影響を受けた世代の人々のことです。
※ ジャック・ケルアック著、青山南訳『オン・ザ・ロード』河出書房新社、2010年
※ ウィリアム・バロウズ著、鮎川信夫訳『裸のランチ』河出書房新社、2003年
※ City Lights Bookstore http://www.citylights.com
※ The Beat Museum https://www.kerouac.com


サンフランシスコの老舗書店シティ・ライツ・ブックストアはビート文学の聖地


書店横には「ジャック・ケルアック」と名付けられた通りが


独特な外観をもつ超高層建築のトランスアメリカ・ピラミッドと歴史的建造物コロンバスタワーはサンフランシスコのランドマーク

2010年にボストンに滞在していたときに、ケルアックの出生地であるローウェルという町に行ったことがあります。
マサチューセッツ大学ローウェル校で、その時期にちょうどケルアック・フェスティバルをやっていたんです。
※ The Jack Kerouac Literary Festival https://www.uml.edu/artsandideas/Documents/JK-LitFest-broch.pdf

今回は、シティライツ・ブックストアにしてもビート・ミュージアムにしても、ケルアックが一時期ですが拠点にしたサンフランシスコでケルアックの足跡をたどったわけで、ああこういうのを「聖地巡礼」というんだな、と得心がいきました、今。
スタインベックを訪ねてサリナスとモントレーを歩き回ったのも、完全に聖地巡礼ですね。
一度の渡米で留学と巡礼を兼ねることができて、あの年はとても充実した夏になりました。

……こうして振り返るととても懐かしいです。
各所の公式サイトなどを調べてみたんですが、今はスタインベック・センターもモントレー・ベイ水族館もビート・ミュージアムも、この状況の中でクローズしているみたいです。
アルカトラズ島のツアーも一部制限されているようですし、カーメル・ミッション・バジリカも、私が入れていただいたときのように観光客がふらっと入れるようには、今はなっていないかもしれません。
本当に苦渋の選択だったと思いますが、来場者、スタッフ、コミュニティすべての安全を最重視するという皆さんのご決断に敬意を表したいです。
旅行、観光は本当に大変な状況ですね。留学の方も、大学のプログラムは今はストップしてるんですよね?

今は大学もオンライン授業のところが多いようですし、どこの国に行くにも、留学は当面予定が立てられなかったりしてるんでしょうね。
私の友人にも、お子さんがこの春から外国の学校に進学する予定だったのに延期になって、行けるめども立たないので、結局は国内の進学に切り替えたという方がいます。

東大生、特に新一年生の方は、合格発表もキャンパスで見られなかったし、入学式もなかったし、4月からの授業も全部オンラインでキャンパスに入る機会もほぼなくて、この秋からの学期もやっぱりオンラインということなんですよね。
新しくクラスメイトになった人たちとも基本は会えないし、先生とも対面できない。
オンラインの形態によっては、先生の顔すら見えないままで、先生の方も学生の顔を見ることができないという。

これ本当に気の毒だなあと思います。
東大生だけじゃない、学生皆さんですけどね。
私が謳歌することができた、キャンパスで過ごせるという機会を、大学生という限られた時間なのに持てないというのは本当に気の毒です。

大学一年生のときにクラスで出した模擬店で「いももち」を焼く姿

佐々木さんが体験されたような、お昼休みにクラスメイトと芝生の上でランチ、ということもできないですし、大学祭もないわけですよね?

東大の五月祭や駒場祭はオンラインで開催されてるみたいです。
でも私が体験できたような、クラスで牛串を焼いたり売ったり、模擬店を回って買い食いしたりは、オンラインだとできないですからね。

キャンパスライフを味わうという意味では、言ってみれば、私はギリギリのタイミングで卒業できたわけですけど。
それを「(世の中が)こうなる前に卒業できてよかったね」と言ってくださる方もいて、自分のことだけで言えばたしかにそうなんですけど、今キャンパスに入れない、対面での授業機会をもてない学生さんを思うと、胸が痛みます。
かといって、現状はまだ対面授業を進めるのはいろいろと難しいでしょうし。

でも一方では、オンライン授業の利点もあるんですよね。
キャンパスに入れないのが気の毒と言いましたけど、いや通学の時間も交通費もかからないし、家で授業が聞けるんだからオンラインの方がかえって楽だし勉強の効率も上がるんだ、という方もいらっしゃいますしね。

……否応なしに、社会のあちこちに不可逆な変化が起きてしまっているのだとも思います。
大学だけでなく、人間の生活や社会機能のいろいろな場面で。
だから、学生さんに対しては、早くキャンパスライフを謳歌できる日々に戻れるといいねみたいなお気楽なことは言えないなと思うんです。
オンラインでもオフラインでもどんな形にしても、安全に教育機会が提供されて、皆さんが安心してそれを享受できる状況であればいいなと、学びたい人が安心して学べる環境が普通にあるようにと願っています。

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