佐々木望の東大Days

東大Days公開記念! 佐々木望 Specialインタビュー

2013年に東京大学を受験し合格、この春(2020年)法学部を卒業した声優・佐々木望。
魅惑的なボイスで数々のキャラクターを演じ、人気と実力をあわせ持つ声優としてそのキャリアを重ねてきた彼が、仕事をしながら東大に入学し卒業したという発表は、私たちを心底驚かせた。しかも文系トップとされる東大法学部である。
いったいなぜ? どうやって? 何のために? 聞きたいことは山ほど浮かんでくる。
「東大Days ―声優・佐々木望が東京大学で学んだ日々―」公開記念のこの独占インタビューでは、受験から入学、キャンパスライフ、勉強のことなど、東大生としての日々を佐々木さんに伺ってみる。

インタビュアー:漫画編集者 永田裕紀子(小学館)

Vol.5 法学徒幼年期 〜2015年夏、本郷〜

増えていく必修負債


登録有形文化財の法文1号館、2号館は法学部と文学部の学び舎

夏学期の試験で憲法、民法、刑法、商法、行政法を受験されなかったと……。
受けなかった科目の数の方が多いんですね……。
佐々木(以下略) 「刑法II」を除けば全部必修科目で、しかも2年生のときに「憲法I」と「民法I」も(単位を)取らないままでいたんですよね。
だから必修負債がどんどん膨れ上がっていきました。
「I」とか「II」というのは、その科目の中の範囲で区切っているということなんですか?
そうですね。憲法、刑法、行政法なんかは第1部と第2部、商法や民事訴訟法は第3部までで、民法は範囲が膨大なので第4部まであります。
大昔からこういう科目の分け方だったみたいです。
※法学部1類の実定法の必修科目は、「憲法I・II」「民法I・II・III」「刑法I」「商法I」「行政法I」「民事訴訟法I」「刑事訴訟法」でした(現在は一部変更されています)。
その、必修負債が増えていくけどあえて受験されなかったのは、何か思惑があってのことだったんでしょうか?

いえ、その当時は思惑なんてなくて、単に本当に何もわからなかったので受けるに受けられなかったんです。思惑が出てきたのはずいぶん後ですね。

3年生になっても相変わらず、法律科目の講義に出ても文字通り座ってるだけでした。
2年生の冬学期の試験間際に、自分が法律の講義も教科書も何も理解できていないことがわかったときは、3年生になればわかってくる、講義に出ていればわかってくる、とにかく勉強してればわかってくる、と思って3年生の自分に期待をかけてたんですけど……。

そうはならなかった……?
ならなかったです。3年生の夏学期の試験が近づいてくると、また今期も撤退せざるをえないことに気がつきました。半年前、2年生のときと同じように。
案外、受けてみたら何とかなる、みたいには思わなかったですか? 試験って、全員が全員ものすごく理解して受けているわけじゃないような……。
とりあえず受けたら上手くいくこともあるのでは?

うーん。それはそうだとは思うんですけどね。もしかしたら特攻してみたらどれかひとつくらいは単位をいただくことはできたかもしれません。
でも、そういう試験の受け方をするのにどうしても抵抗があって……。

十分に ─自分的に「十分」ってことですけど─ 十分に準備したと思えないままにとりあえず受けるのが嫌だったんですよね。
何というか、本当はまだ受けられるレベルに達してないのにとりあえず受けに行って、わかってるふりをして何かもっともらしいことを答案に書く、みたいなことがどうしてもできなくて。

完璧に理解するなんてもちろん程遠いとしても、自分基準でちゃんと勉強してから試験に臨みたいっていう。たぶんこれ、性格的なものなんでしょうね。
自分からわざわざ大学に来ておいて、時間も費やしていて、それなのに適当な感じで単位を取ろうとするのは、何か態度としておかしいというか、矛盾してるんじゃないかと思って。

ああ、それ、学問する態度としてすごく正しいと思います。そうなんですよね、学ぶためにご自身で決めて大学に来られたわけですものね。
だから、今の自分の力量以上に手を広げて試験勉強をするのをやめようと思いました。
夏学期の試験は7月にあったんですが、6月半ば頃にはもう、今回は科目を絞って受けようと決めました。
それで、「英米法」と「会計学」と「民法基礎演習」だけ受験することにしたんです。
「英語教授法・学習法概論」と「国際法演習」は?
どちらも試験はなかったんです。
「国際法演習」はゼミなので、ゼミの中で持ち回りで発表を何回かこなして、あとはレポートを出せばよくて、「英語教授法」もレポートだったので。
レポートも決して簡単ではなかったですけど、どちらの締切も試験後だったので、後でゆっくり取り組めました。
ちなみに、レポートはどんなことを書かれたんですか?

「英語教授法」のレポートのテーマは、いくつかの設問に加えて、「これまでのあなたの英語学習について述べよ」という趣旨の質問でしたので、気合を入れて自分の勉強方法と使ってきた教材を詳細に記して、さらに学習法についての自論も大展開した力作を書きました(笑)。
そんな大展開はレポートに求められてないんですけど(笑)。A4用紙10枚くらいになりました(笑)。

おそらく、他の学生は1枚か2枚くらいだったんじゃないかと思います。それは全然少なくなくて、設問の量的にも妥当な枚数です。
私のは、量もそうですが、ものすごく熱く語っていて、さぞ空気の読めない異様なレポートになっていたかと思います(笑)。

レポートを教育学部の建物に提出しに行ったんです。8月の暑い日でした。
他の学部の建物に入るのは、ちょっとどきどきしてちょっと嬉しいんですよね。

佐々木さんの英語学習法、ぜひいつか公開してください! 読みたい方きっとたくさんおられますよ!

そうですか? じゃ、じゃあいつか(笑)。

「国際法演習」のゼミは、毎週読んでくる課題の文献が大量にあって、ほぼすべて英文なので、読んで理解するのになかなか手こずりました。

国際法だから英語の文献が読めるのが当たり前の世界なんですね!

なんでしょうけど、私はけっこう読めてないので、間に合わないときは翻訳書に頼ったりしましたよ。
本当は、時間がかかってもとにかく英語にくらいついて読んでいけば、だんだんスピードも上がるんですけど、なんせ能力に比して分量と時間的な制限がきつかったので、翻訳があるものについては翻訳に逃げてしまったときもありました。

受講生は中国、韓国、シンガポール、カナダなどからの留学生に、日本の大学院生に、私たち学部学生の9人くらいでした。
当然、ゼミの共通語は英語になるので、発表や発言は英語で行うことを強く推奨されて、毎回緊張で頭の血管が切れそうになってました(笑)。

私、声優としては、舞台やステージでも緊張しないタイプなんですが、国際法ゼミのプレゼンテーションはいつも目がくらむほど緊張して、終わった後は全身が筋肉痛になりました(笑)。
いや、そりゃ英語ですしね。

それが英語でできることがすごいです!

ゼミの皆さんはものすごく優秀で、国際規範についても人権問題についてもすごく意識が高くて、日常でもものすごく勉強されていることがうかがえて、ゼミの小さい部屋で毎週とてつもなく優秀な各国の方々と対話できる経験ができたことは貴重でした。

先生も、思いやりがあって教育熱心で、すばらしい方でした。
ご自身も、学生時代から優れた論文をお書きになったり、海外の大学院で研究されたりと、際立った業績をあげられている方なんです。
東大ご出身の方なんですが、今は別の大学で教鞭をとっていらっしゃいます。
またお目にかかりたいです。

期末レポートは、私は「サムの息子法」について書きました。
※1977年にアメリカ合衆国ニューヨーク州で制定された、犯罪加害者が手記を出版するなどして自らの罪を商業的に利用したり評判を活用したりすることを禁じる法律です。


安田講堂前にある秘密の階段(?)で地下学生食堂に

え、そのレポートも英語で書くんですか?

いえいえ、それは日本語ですよ。英語でも日本語でもどちらでも受け付けるということでしたけど、まあそこは日本語にしましたよね(笑)。

先生には、夏休みにわざわざ面談の時間をとっていただいてレポートを講評していただいたり、国連についてのDVDを貸していただいたりして、とてもお世話になりました。
レポートの書き方について、いくつか指摘していただいたりアドバイスいただいたりもしたんですが、それが後に別の科目でレポートを書くときにもずっと役に立ちました。

少人数のゼミならではの親身なご指導をいただけてすばらしいですね。
そして、先生のご指摘を後々まで忘れずに次の機会に活かしていく学生さんとしての佐々木さんもすばらしいです!
ありがとうございます(照)。
では、試験のお話に戻りまして(笑)。
「民法基礎演習」は民法なんですよね? 「民法II」は受けないのに、これはどうして受けることにしたんでしょうか?

「民基礎」の授業は、普通の講義形式と違って、クラスみたいなグループに分かれて受けるんです。
出席も取るし、先生から順番に当てられたりもして、そういうことも成績評価に加えられるんです。

だから、まあ欠席してもいいんですけど、できればしない方がいいわけで。
で、必修なんですね。

本当は「民基礎」も翌年度に回したかったんです。なんせ全然わかってなかったので。
でも、翌年に回すと、翌年も毎回出席して当てられたら答えて、をすることになるじゃないですか。
こういう仕事柄なので、今年はわりと出席できたとしても、来年の自分がその曜日その時間帯に必ず出席できるかはわからないですよね。

だから、試験勉強の方針も立たないままでしたけど、これに限っては今回受けておいた方がいいだろうと思ったんです。

なるほど。佐々木さんの場合、お仕事の都合が必ずありますものね。
来年のその時間帯にお仕事が入る可能性もあるから、今年うまいこと出席できたのなら試験まで受けて単位を取っておいた方がいいですよね。
ええ、そう考えました。
で、受験する科目が3科目に絞れたので、6月からは「英米法」をがっつり勉強しました。
え、3科目がっつり勉強されたのではないんですか?(笑)

「民基礎」は結局、何をどう勉強したらいいのかわからないまま放置してしまいました(笑)。
「会計学」は、講義にしっかり出ていたので、その蓄積と、あとは試験の数日前から集中的に対策しました。

「英米法」は、やっぱり好きなんですよね(笑)。好きな科目ばっかり深く勉強してしまうんです。アメリカ法の判例を深く深く(笑)。試験範囲外のものまで(笑)。

そうそう、日本の場合、引用された判決文で、人名の代わりに「甲」とか「乙」とか「A女」とか「B男」とかの表記になってることがわりとあるんですよね。
実際の判決文はもちろん本名ですけど。プライバシーの観点からそうしてるんでしょうかね。

アメリカ法の判例は、人名も会社名も公的機関もそのまま固有名詞で、教科書にもそのまま載ってたりします。「ホワイトさん対ベンコウスキーさん訴訟」みたいに(笑)。
※White v. Benkowski (Wisconsin State, 1967)

普通の一般の方のお名前が判決の名前なんですか?

そうなんです。そういう判決名になるんです。

ホワイトさんもベンコウスキーさんも、当然こっちは全然知らない人ですけど、何か親近感がわきませんか?(笑)
人の名前が具体的なので、事案の概要も日本のものより頭に入ってきやすかったです。

読みながら、「ああこの契約条項はベンコウスキーさんが有利だ」とか「もしホワイトさんがこうしたら一気に状況が変わるな」とか。
いろいろ余計なことを考えてしまうので英米法の本質からは遠ざかっているかも(笑)。

面白いです! 本当に「英米法」がお好きなんですね(笑)。
あるとき、英米法の授業中に、先生が「ペーパー・チェイス」の映画のお話をされたことがあって、すごく嬉しかったですね。
で、授業が終わった後に教壇に行って、「先生先生、実は『ペーパー・チェイス』にはTVシリーズもあるんですよ」って話をしました。
オタク知識ひけらかしです(笑)。
先生はTVシリーズのことはご存知なかったんですか?
そうなんです。へえそれは知らなかった、どういうものか教えてほしいとおっしゃるので、後で作品のリンクをメールしました。
英米法の先生がご存知なかったことを佐々木さんがご存知だったとは!
先生は喜ばれたのでは?
だといいですね。お役に立てて嬉しかったです。ん? お役に立てたのかな?(笑)
けっこう、先生方とお話しされてますよね?
そうですね。そこは大人のずうずうしさで(笑)。
いえいえ、熱心な学生さんなんです(笑)。
「会計学」はどんな試験対策を?

教科書を読もうとしてもさっぱり頭に入ってこなかったので、過去問だけをしました。
法学部のこれまでの過去問が(当時)販売されていたので、それを入手して、全部解いてみて。
といっても自力では解けないので、本などでいろいろ調べて、まとめて、それを何度か読んで。

例年同じ先生の担当される科目だったので、過去問で傾向というか、先生の問題意識が少しわかったように思えました。
それをふまえて受けたので、試験ではまずまず手応えがありました。

過去問対策! あれこれ手を広げないのですね! さすがです!

というより、あれこれ広げている余裕がなくて。時間的にも、頭の容量的にも。

過去問と同じ問題が出るわけじゃないですけど、先生がこの科目で何が大切だと考えていらっしゃるのかとか、何を学生にわかっていてほしいと思われているのかとかが、過去問を10年分くらいやってみると何となくわかったつもりになるんですよね。
つもり、にすぎないかもしれないですけどね。


漱石もよく訪れた三四郎池でひとときを過ごす

他の試験はいかがでした?
「英米法」は面白くてハマった甲斐があったのか、高評価をいただけて嬉しかったです。
でも「民基礎」はやっぱり何もわからないまま答案を無理やり書いて、評価が「可」でした。
あああ! 「可」!
これが法学部で取った唯一の「可」だったんです。だからわからないままに勉強できないままに受けちゃいけなかったんだーって、後々まで悔やみましたよ。
唯一なんですか? じゃあ、あとの科目は全部「優」とか「良」とか? すごいじゃないですか!

そうですね。「民基礎」の「可」がショックで、それ以来は年度ごとの計画を立てて、少しづつ勉強して着実に単位を取っていったので、最終的に法学部の成績は満足できるものになりました。

ある意味、「民基礎」のおかげ? いや違うな、「民基礎」はいまだに恨んでます(笑)。

(ここでスタッフが発言)でも佐々木さん、「優上」もたくさん取られてるじゃないですか。そして駒場の成績も素晴らしかったんですよね?
駒場では「可」がなかったので。言葉通り「可もなく不可もなく」でした(笑)。
駒場でもすでに優秀な学生さんだったんですね!

でも駒場と法学部は、自分には本当に子どもと大人くらい違いました。
歯が立たないってこういうことなのかって、法律科目の講義やゼミの後はいつも呆然としてました。
先生のお話のスピードも、一回あたりの講義の進度もすごく速くて、全然ついていけなかったんです。

一日大学にいられる日でも、朝から夕方まで講義に出てもただ座ってるだけで頭に何も残らない。帰宅しても、何をどう勉強していいのかわからない。

そういう状況が延々と変わらなかったんです。

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来世は世界史の子に?


遅くまで勉強して帰る学生を優しく包む校舎の灯り

それは……。けっこう深刻な状況だったんですね。

とはいっても、ちゃっかり楽しんでもいましたよ!(笑)

試験期間中に、学内学外の法学部の教授や研究者の方がたくさんいらっしゃるシンポジウムが開催されたんです。
アメリカ外交に関するもので、アメリカの大学教授がゲストスピーカーで登壇されていて。
学部生でも参加できると聞いたので、行ってきました。

ちょうど、その時間は必修の「民法II」の試験の最中だったので、「ああみんなは今ごろ民法なのに自分はブッチ野郎だ……」とちょっと後ろめたかったですけど(笑)、講演はすごく面白かったです。

試験はまた受けられますけど、その講演はきっとその機会しかないですものね!

ありがとうございます(笑)。

そういえば、駒場でスペ語に浸かっていたとき、たまたま「ローサのぬくもり」というスペイン映画を観に行ったんです。
行ってから知ったんですが、日本語字幕がなくて(笑)。オールスペイン語でした(笑)。

ええー! じゃあ培ってこられたスペイン語力を発揮して?

それがさっぱり聴き取れませんでした(笑)。ところどころ単語がやっとわかるくらいで。
でも、観ていればなんとなくストーリーはわかりました。

その日ちょうど会場に主演の女優さんがいらしていて、上映の後に懇親会があったんです。

おおー。スペインの女優さんですか?
そう、アナ・フェルナンデスさんというスペインの女優さんです。
せっかくスペ語を勉強してるので、勇気を出して話しかけてみました。スペイン語で。
すごい! 実践ですね! 通じたんですよね?
ちょっとわかんないです(笑)。
スペ語作文で培った文章能力を駆使して、と思ったんですけど、やっぱり人と話すのとひとりで文章を作るのとでは全然、ぜんっぜん違いますね。
なんとか、自己紹介と、映画の感想と、これからもご活躍を的なことを言いました。
自己紹介はなんておっしゃったんですか?

“Soy actor de voz.” だったかな? スペ語から遠ざかって久しいのでもう覚えてないです(笑)。たぶん、めちゃくちゃなブロークン・スパニッシュだったと思います。

でも “Muchas gracias.” と言っていただけました(笑)。たぶん絶対気を遣ってもらってる(笑)。

でもすごいです。スペイン語を実践で使える機会なんて、そうそうないでしょうし、そのチャンスをしっかり逃さずトライされていて。
駒場時代には、他に、英語落語の講演を聴いたりしました。落語家の立川志の春さんがキャンパスにいらしてくださったんです。
英語落語?

ええ。すごいですよね、古典落語を英語に翻訳してそれを演じられるんですから!
超絶に面白かったです。

自分も日本語と英語で同じ役を演じたりしたことがありますけど、落語の場合はセリフと違って、ずっと長くひとりで喋るわけでしょう?
古典落語なのでストーリーももちろん面白かったですけど、志の春さんのスキルは、パフォーマーとしても英語スピーカーとしてもエンターテイナーとしてもすごいなあと感嘆しました。

それは存じ上げませんでした。落語もグローバル化してるんですね!
この講演は、もともとは留学生向けに日本の伝統芸能を観せてあげたいという企画だったらしいんですけど、留学生でなくても参加していいことにしてもらえたので、東大には感謝してます(笑)。
落語好きなんですよ。一時期、三代目三遊亭金馬師匠にはまっていて、自分でもちょっとやってみたりしてました。声だけでですけどね。
すごい! 落語もお好きで、ご自分でもとは!
お好きなものが多いんですね! ご興味の幅が広いというか……。
そのひとつひとつについて詳しくお伺いしたいところですが、それはまたの機会にお願いします!

そうですね(笑)。

こうして思い出してみると、我ながらいろいろなところに顔を出してますね(笑)。
学生になったからフットワークが軽くなったのかな(笑)。
いや、学生はたくさんの見聞の機会を大学や社会から与えてもらえてる、ということなのかもしれないですね。

その通りだと思います。大人になると、なかなか自分で探して動くというのは難しかったりしますものね。
だから学生さんは、そういうチャンスを存分に活用していただきたいですよね。

はい、ありがたく存分に活用しました(笑)。

さっきお話ししたアメリカ外交のシンポジウムは学内であったんですが、そういう学内での講演会系にもいろいろ行きました。
同じ夏にあった、アメリカ連邦最高裁のロバーツ長官とハーバード大学のラザルス教授の講演会は参加できて感動しました。

そんなものすごい方々がいらっしゃるんですね、東大に!


ギンズバーグ連邦最高裁判事の半生から多くを学ぶ

貴重すぎる機会ですよね。東大法学部の主催で開催されたんです。

連邦最高裁といえば、ルース・ベイダー・ギンズバーグ最高裁判事にとても憧れているんです。
「RBG 最強の85才」と「ビリーブ 未来への大逆転」はすごくよかった。ぜひお薦めです!
※どちらも2018年公開の映画です。

映画に感銘を受けて、今は本でギンズバーグさんの自叙伝を読んでます。
※ Ruth Bader Ginsburg, My Own Words, Simon & Schuster, 2018.

映画も本当にたくさんご覧になっていらっしゃいますよね。私もぜひ観てみたいです!

ロバーツ長官とラザルス教授の講演会の開講の挨拶では、法学部長(当時)の西川洋一先生が威厳とホスピタリティあふれる英語でお二人を紹介されて、なんてかっこいい!と思いました。

西川先生は学部で「西洋法制史」を担当されていたんですが、世界史オンチな私は一度も取る機会がないままで心残りでした。

世界史オンチ? あ、そういえば、東大の受験のときの選択科目は……?

世界史を取ってないんです。
私、人生で日本史も世界史も地理もまともに勉強したことがなくて、センター試験からようやく社会科目を始めたので。

センターにも東大受験にも、イチから始めるには世界史はとうてい間に合わないと思って、日本史と地理にしました。
それでも社会ふたつをそこそこまで仕上げるのは重かったですけどね。

受験のときは日本史・地理の組み合わせで結果的にはよかったと思います。どっちもとても面白かったです。

ただ、世界史を知らないことは、大学に入ってからじわじわと自分の首を締めてきました。

ど、どういう意味ですか?
大学の文系科目には、高校時代に世界史を履修していたこと、またはそれに相当する世界史の知識があることを前提としてされる授業があるんです。
東大文科に入ってくる学生はほとんど受験で世界史を選択していて、2科目の組み合わせでは日本史・地理のパターンが一番少ないんです。
そうなんですか。
世界史・地理は、何か関連性があるっぽいじゃないですか。でも日本史と地理はあまり関係ないので。
なるほど! 世界史・地理の方がなんとなく効率も良さそうですよね。

そうなんでしょうね。だから日本史・地理の選択者は少ないし、さらにその中でも、私のように世界史をまったくやってない学生はごくわずかなんです。
それで、世界史の知識を前提とした講義は、聴いても意味がわからないことがよくあって。

法学部に入ってからは特にそうでした。だから、法制史や国際政治系の科目はあまり履修しなかったんです。
そこはちょっと心残りですね。

世界史はいろんな文系科目の基本になっているということなんですね。
でも、佐々木さんならこれから学び始められてもきっと大丈夫ですよ!
そうですね! 実はもう世界史のテキストをいくつか購入してます(笑)。
そして来世は世界史の得意な子に生まれてきて、きっと西川先生の「西洋法制史」を履修します!(笑)
さすがです(笑)。
でも本当に、世界中から学者さんや著名な方が集まる講演会やシンポジウムの多さは、東大ならではというか。
学問的にも貴重な機会がキャンパスの中にたくさんあるのが素敵ですね!

そう、そういうのはとても楽しかったんです。すごく満喫しました!

……で、それはそれとして。
必修単位が取れてないという問題については、3年生の夏休みに、ある計画を立てたんです。

計画??

次回、アクティブなキャンパスライフの裏で膨れ上がる必修単位の「負債」! いったい、どんな計画を??

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