Vol.2 駒場のキャンパスライフ 〜東大1年生スタート!〜
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武道館ふたたび
語学の授業を受けた駒場キャンパス1号館
- さて、佐々木さんは東大の文科一類にめでたく合格されて、駒場キャンパスでの大学生活が始まりました。学部のシステムはどうなってるんですか?
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佐々木(以下略) はい。入試の入り口は文科理科とも一類から三類に分けられているんですが、入学後はその全員が(前期)教養学部に所属することになります。1、2年生を駒場で、3年生からはそれぞれ専門の学部に進んで本郷に行くことになるんです。
あ、本郷というのは例の赤門があるところです。よくニュースとかに映る。
- クラスとかもあるんですか?
- 駒場ではあるんです。入学のとき、というか受験のときに第二外国語(「二外」といいます)を選択するんですけど、科類と二外によってクラスが決まるんです。私たちのクラスは「文一文二スペ語クラス」のひとつでした。
- 「スペ語」? あ、スペイン語のことですね?(笑)
- これ他では言わないんでしょうかね?(笑) スペ語、ドイ語、フラ語、チャイ語(中国語)、イタ語、なんて言われてました。二外の授業はクラスごとに受けるので、駒場時代はクラスメイトと毎日のように顔を合わせてました。
そうそう、クラスメイトのことは「同クラ(おなくら)」と言うんです。
- 同じクラスだから「同クラ」ですね(笑)。佐々木さんはそもそもどうしてスペイン語を選ばれたんですか?
- それまではほぼ英語しかやったことがなかったので、英語の次に学ぶのは、世界で話者の数が多い言語にしようと思っていまして。
それで、スペイン語か中国語のどちらかかなと考えたんですけど、前からガルシア=マルケスやバルガス=リョサなどのラテンアメリカ文学が好きだったので、いつか原書で読めたらなと思ってスペイン語にしました。
- 海外文学がお好きと伺ってましたが、欧米のものだけじゃないんですね! それで原書もスイスイ読めるようになりましたか?
- いやいや、それにはとんでもなく道のりが遠いですよ!
二外の必修の授業は週に3コマあって、先生も教科書も内容もそれぞれ違って、かつミニテストが毎回あったりして、予習とミニテストの勉強に追われました。
1年冬学期からは必修以外にもスペイン語の授業をいくつか取りましたけど、本郷キャンパスに行ってからは法学で手一杯で語学をやる余裕がなくなってしまったので、もうけっこう忘れてしまいました。またいつか再開したいですけどね。
- もうそれはぜひ! そういえば、入学式あるんですよね。参加されましたか?
- 行きました行きました。東大の創立記念日が4月12日なので、入学式も原則この日に行われるんです。会場は日本武道館でした。
その2年ほど前に武道館で行われたイベント(「テニプリフェスタ2011 in 武道館」)に出演して歌ったりしていたので、同じ会場で今、大学の入学式に新一年生として座っている自分がすごくすごく不思議だったことを覚えてます(笑)。
- テニプリの亜久津ですね! 日本武道館に、ある時はパフォーマーとして、ある時は新入生として(笑)。
そんなご経験をされる方は滅多にいらっしゃらないかと(笑)。
- 入学式の式辞を座席で聴きながら、「ええっと、こないだ武道館に来たときは座席じゃなくてあのステージ上にいて歌ってたんだよな、自分」みたいに壇上を見ていました(笑)。自分でも、落とし込めないというか腑に落ちないというか、ひたすら納得できない感覚でした(笑)。
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魔の体力テスト
- 楽しいお話を伺ってきましたが、逆に大変だった授業とかはありましたか?
- なんといっても駒場で一番しんどかったのが、「スポ身」という体育の授業でした。正式名称は「身体運動・健康科学実習」というんですけど、みんな「スポ身」って呼んでました。たぶん多くの東大生はスポ身の正式名称が何なのか知らないまま卒業していきます(笑)。
※おおもとは「スポーツ・身体運動」の略称のようです。
- 必修だったんですよね?
- はい、必修なんです。一年生のときだけですけどね。必修だから絶対に取らなくてはいけなくて、体育だから絶対に出席しなければいけなくて、どうあっても逃れられないという(笑)。
いろいろな種目の中から選べるんですけど、サッカーやバスケみたいな集団競技はとてもとても。そんな18歳19歳の人たちと一緒にボールを追いかけまくるなんて無理無理無理無理(笑)。
だから、基本的にはマイペースでできるウエイトトレーニング的なものやストレッチ的なものを選びました。
- ああ、それなら無理なく体も鍛えられていいですね!
台本と運動靴とジャージ
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いやねえ、でもやっぱり気が重くて。スポ身の授業は水曜日だったんですけど、水曜日だけは大学に行きたくなくて(笑)。
しかも、運動靴とジャージ的な服も持っていかないといけなくて荷物になるし(笑)。前後に仕事があると、台本と運動靴とジャージを持って仕事場に行くわけですよ?(笑) カバンはもこもこになって変だし、「何が入ってるの?」と聞かれたこともありますけど、「運動靴とジャージ。体育の授業」とか答えられないですから(笑)。
授業自体はグループでまったり運動する感じでそれほどキツくもなくて、だいたい出席して課題をすれば単位はいただけるので、そのあたりは心配なかったんですけどね。
- あれ、じゃあ何が大変だったんですか?
- スポ身の初回の授業だったんですけど、体力テストがあったんです。大きな体育館に集められて、反復横跳びや踏み台昇降なんかをして脈拍の推移なんかの記録をつけるんですけど。
- 踏み台昇降! なんか懐かしい言葉です!(笑)
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そう、たいていの大人には懐かしいんです(笑)。でも大学生はやるんです(笑)。しかも踏み台昇降って3分間ですよ!
当時は運動してなかった時期だったので、始めて3秒くらいでもうしんどいんです(笑)。3分間が永遠に終わらないように感じました(笑)。
まわりの皆さん18歳19歳ですよ、私その親くらいの歳ですよ、3分間の間にいろいろなことが走馬灯のように頭をよぎりました(笑)。
で、やっと終わったら今度は脈拍を1分おきに測って、心拍数の回復の度合いをみるんです。
これがもう、他の人はぐんぐん元の脈拍に戻っていくのに、私の脈拍は延々とばくばくでまったく収まらなくて(笑)。瞳孔もきっと開いててぜえはあ言ってて、そしたら先生が「大丈夫?」と心配して側に来てくださったんです。
なんかすごく恥ずかしくて、大丈夫です大丈夫ですって言ったんですけど、本当にこのままポックリいってしまうかも、まだ入学して1週間なのに、ああ自分が人生で最後にやったことは踏み台昇降になるのか……、人からは「佐々木望さんって踏み台昇降で……」「ほんとにお気の毒ね、踏み台昇降でなんて……」「踏み台昇降さえなかったらねえ……」なんて言われるのか、と本気で焦りました(笑)。
- いや、それは(笑)……。18歳19歳の学生さんと同じにはいかないですよ(笑)。
- その先生は、石井直方先生という東大の大学院の教授で、東大ご在学中からボディービルでもご活躍されてミスター日本にもなられた方です。石井先生のスポ身では筋トレを教えていただきました。
研究者でいらっしゃいながら、『スロトレ』とか一般向けの本もたくさん出されていらっしゃいます。すごく優しい先生でした。私たちは「神」と呼んでました。
いや、呼んではないですね、勝手に言ってたんですけど(笑)。
- 東大の先生はメディアでお見かけすることも多いですし、当然日本トップの研究者でもいらっしゃいますよね。そういう先生方に普通に授業を担当していただけるなんて、やっぱり東大すごいと思います。
- 名実ともに日本の学問を牽引する先生方が多数いらっしゃいますしね。本当にすばらしい学習環境だと思います。
- キャンパスライフのお話すごく面白いです! まだまだ駒場時代のことを聞かせてください!
次回、佐々木さんが法学部進学を決めたきっかけとは?