佐々木望の東大Days

声優の佐々木望です。

このたび東京大学法学部を卒業しました。

2013年に受験、合格し、声優の仕事のかたわら通学をしてきました。
仕事の都合で休学期間を挟んだこともありますが、振り返ると、
センター試験から大学卒業まで長かったようでとても短く感じます。

濃密で豊かな時間でした。
学べる環境にいられた幸せに深く感謝しています。

これからも勉強を続けつつ、さまざまな経験を演技にも活かしていきたいと思っております。
今後ともよろしくお願いいたします!

2020年3月 佐々木望


駒場キャンパス時計台の下で

佐々木望/Nozomu Sasaki プロフィール

1月25日生。1986年に声優デビュー。
アニメでは「幽☆遊☆白書」浦飯幽助、「AKIRA」鉄雄、「銀河英雄伝説」ユリアン、「MONSTER」ヨハン、「テニスの王子様」亜久津、「DEATH NOTE」メロ、「からくりサーカス」ギイ、「無限の住人」天津影久、「うしおととら」蒼月潮、「21エモン」21エモン、「ここはグリーンウッド」蓮川一也、「ガンダム逆襲のシャア」ハサウェイなど、外国作品吹替では「ビバリーヒルズ青春白書」デビッド、「きかんしゃトーマス」エドワードなど、多くの作品で主要キャラクターを演じてきた。
独特の存在感がある声で、熱血キャラからクールなヒール役まで幅広い年齢・性格の役柄を演じ分ける。
英語検定一級、全国通訳案内士資格を有しており、同じキャラクターを日英両言語で演じることもある。
多数のイベント出演、歌のライブ活動のほか、近年は舞台朗読、オーディオブック、ナレーション、公演プロデュースなどにも活躍の場を広げている。

2013年、大学入試センター試験を経て一般入試で東京大学(文科一類)に合格。
声優の仕事のかたわら通学し、休学期間を挟みながら、2020年3月、東京大学法学部(第1類)を卒業。
法学士(東京大学) Bachelor of Laws, The University of Tokyo (2020)

特技&趣味 Skills & Interest

実用英語技能検定(英検)1級
国家資格 全国通訳案内士(英語)

言語は英語の他に、スペイン語、広島弁、落語(←?)、ラテン語(New!)
映画マニア、ミステリファン、文学オタク、ジャズ愛好家

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東大法学部を卒業した声優に、スタッフがまだもうちょっと聞いてみたいこと
〜東大Days 総括編〜 ②

イメージの「東大生」と実際の東大生
東大を卒業されて、あらためて、東大生のイメージは変わりましたか?

そうですね……。
東大に入る前は、特に東大生のイメージを持ってたわけではないんですけど。
実際に自分自身が東大生になって周りの人を見ると、東大生のイメージとして一般的になんとなくできあがってるようなイメージとはずいぶん違うなと感じました。

勉強が好きで勉強ができる人たち、という意味では世間的なイメージに即しているかもしれないですけど、勉強ばっかりで視野が狭かったり余裕がなかったりするイメージではまったくないんです。
基本的には普段からいろいろなことに興味を持っていて、学校の勉強や目の前の試験に関係ないことだったとしても、知的に刺激されるものに対してはどんどん自分で調べていく意欲があるというか、能力があるというか、その力があるというか。
根本に知的好奇心があるんですよね、きっと。


仕事の打ち合わせの合間に法律をカフェ勉

「東大生=ガリ勉」というステレオタイプのイメージとは全然違ってたんですね。

いわゆるガリ勉的なタイプの人はほとんど見かけなかったような……。
皆さんいろんなことをやってらっしゃいました。
サッカーやテニスや格闘技などのスポーツや、ピアノやバイオリンやチェロなどの音楽や、将棋や囲碁やチェスや、小説や絵や漫画やダンスやマジック、株とかFXとかも。

そもそも地理が好きでいろんなところに旅してるとか、そもそも化石とか古代生物が大好きで現地調査に出かけてるとか、料理がシェフ並みに達者だとか、世界の鉄道なんでも博士みたいな人とか、温泉博士? 温泉のことならなんでも聞いて、なんなら湯の成分の違いとかも聞いて、みたいな人とかも(笑)。

もちろん、その方は実際にその各地の温泉に行ったことがあるんですよね?

もちろん、行ったうえでの温泉博士ですよね(笑)。

他には、ヨーロッパをバックパックひとつで周ったり、単身でサンティアゴ巡礼をしたり、モンゴルでパオ(テント)に泊まってきたり、被災地でボランティアをしたりも……。
私が出会った東大生の多くは、勉強以外に打ち込めるものや特技をいくつも持ってる人たちで、そういった分野で大学の内外で表彰されたりする方もいらっしゃいました。

勉強に打ち込めるのももちろんすごいことなんですけどね。
勉強ができるうえに、視野が勉強だけに限られてないというか。
もっともっと自由な人たち、枠の中にはまり込んでなくて、自由に考えて自由に学んで自由に選んで自由に取り入れて……っていう人たちに思えます。

大学というものは実務家やビジネスパーソンの養成機関だ、という意見を聞いたことがありますが、少なくとも東大の場合は、立場上も実質もそうではないように思うんです。
東大生の中には在学中に起業する方もいらっしゃいますけど、その方たち含めて、皆さん広い意味での「学ぶ・知る」ということに純粋に貪欲な面があると感じます。

学びたい、知りたいという気持ちを自然にもっている方々なんですね、東大生の皆さんは。
私が知り合えた東大生は東大生全体のごくごく一部の方ですから、ここで私が「東大生とはこんな人」みたいにまとめて語ることはもちろんできないですけどね。
本当にいろいろな方がいらっしゃるので。
だから、実際は、よく言われているような「東大生の類型」なんてないし、皆さんそれぞれ独自の生き方を選んでいらっしゃると思います。

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知的に謙虚な東大生
東大生の中で過ごしてきた自分が今もつ「東大生の共通イメージ」は、知的に謙虚だということです。
知的に謙虚?

ええ。
成績でも能力でも、自分が優秀だと鼻にかけたり、人を見下したりしている人を見たことがないんです。
知に対して謙虚なんです。知というものに誠実というか。

知ってることは知ってる、だけど偉ぶったりしないんです。
だって周りはみんな東大生ですからね。
優秀な彼らも、それぞれ自分より優秀な人がいることを見てわかってるんです。
その中で偉ぶるなんて、まあできないですよね。
できないというか、そんなことをする意味も益もないというか。

そこも賢さ、ですね、きっと。
どんなに優秀な人でも、知らないことって絶対にありますよね。
そういうときに、知らないことは知らない、「あ、そうなんですか」って素直に言う。
知らなかったことで萎縮したり、引け目に感じたりするのでなくて、「へえ知らなかった」って目を輝かせて面白がってくれる。
知に対して謙虚で誠実で、積極的に学ぼうとする姿勢が素晴らしいと思います。
それは、もともとの性格なんでしょうか。それとも、ご両親の影響や教育方針や、育ってきた環境などによるものなんでしょうか。
もともとの素質なのか、育ちなのか、環境なのか、その複合なのかはわからないですけど。自分の見てきた東大生、友だちになった東大生は、こういう方々が多かったように思います。
一緒にいると、学ぶことや知に対する姿勢を自然に教えられるようで、いつもすごく刺激を受けてました。
そう思える佐々木さんも、謙虚で知的な探究者なんですよ、きっと。

そうありたいですよね!
それと、知に対して謙虚で誠実というのは、別の見方をすると、合理的だとも言えるのかなと思います。

誰かと話をしていて、その人が知っていることを自分が知らない場合があったとして、でもそれは、そこだけ見ればそれだけのことなんですよね。
相手がもっている知識を自分はもっていなかった、というだけの。
そういうとき、知ってるふりなんかしてその場をやり過ごそうとするのでなくて、自分が知らなかったということを恥ずかしいとか悔しいとか思うのでもなくて、「じゃあ知りたい!」「教えて!」という方に意識が向かうんだと思うんです。すぐに。
で、相手から教えてもらって、「なるほど、そうか。わかった!」みたいに理解するんです。
時には、「そうだとしたら、じゃあこれは?」みたいに、さらに深く考えを掘り下げようとしたりも。

自分の知らないことを知ってる相手が目の前にいるわけですから、今その人に教えてもらうのがとりあえず一番早いし、当座の理解に役に立ちますよね。
もっと知りたいと思えば、後で自分でいくらでも調べたりできますけど、そのときその場の文脈もあるでしょうから、まずは目の前の人に質問するのが、おそらくそのときで一番、合理的な行動ですよね。
わかったふりをして、あるいは自分自身でもわかってるつもりで、そのまま黙ってやり過ごしてしまうと、もしかしたらいつかそのことがまた引っかかってくるかもしれない。
それならば、疑問に思ったその場で確認したり聞いたりするのが一番いいのかなと思います。

だから、知的好奇心が旺盛で、知に対して謙虚で、でも知の獲得においては合理的な行動をとる人が多い、と言えるのかも。
だけど、合理的な行動といっても、いわゆる効率主義とか単なるコスパ重視とは違うんですよね。
「知る」というひとつの目的に向かうための理性的で論理的な行動、という方が近いのかな。
そういう知的な態度をとる人が多いと思います。

1892年の創設から約130年の歴史をもつ東京大学総合図書館の中の様子は夏目漱石『三四郎』にも描かれている

所属学部を超えた履修ができる制度を活用して薬学部の講義「薬事法」も受けてみた(写真は薬学図書館)

なるほどですね!
先生だってそうなんです。いや、東大の先生を全員知ってるわけじゃないですけどね。
たとえば学生が質問をしたりしたときに、「とても鋭い指摘です。私はそこは考えたことがなかった。どうもありがとう」みたいにおっしゃる先生が普通にたくさんいらっしゃるんです。
自分よりはるか歳下の学生に突っ込まれても、プライドを損ねたりとか、うまくかわすとかじゃなくて、みんなの前で、知らないことは知らない、あなたの方がよく気づいたって言えるんです。先生方も。
学生も先生も、知的に謙虚な態度は同じなのですね。

それが「賢さ」なのかなと思うんです。
勉強ができるとか成績が良いという意味の賢さでなくて。
いや東大生だから勉強は当然にできるんですけどね。

ちょっと話がずれますけど、「あの人はお勉強はできるのかもしれないけど……」と言って、その後「……」のところでその人を揶揄したり下げたりするような表現があるじゃないですか。
これ、多くの東大生や東大卒業生は、誰かから言われた経験があるんじゃないでしょうかね。
私自身も、東大に入った後で面と向かって言われたことがありますから(笑)。

ええっ! 佐々木さんがですか?!!
「お前は勉強はできるかもしれないけど、バカだな」って。
うわっ、このセリフは実在するんだ、本当に世の中で言われてるんだ、同じ人から今までこんなふうに言われたことなかったのに、東大に入ったら言われるんだ、とちょっと驚きました。
その「バカだな」って、どういう意味で言われたんですか?

文脈的にはおそらく、頭でっかちとか世渡りが下手とかいう意味だったんでしょう。
でも、自分についていえば、いやその通りだなと思いました、真面目に。
だからその方には「そうですね、私もそう思います」って答えたんですけど。
まあ、私のことはいいんですいいんです!(笑)

「東大生は勉強はできるかもしれないけど」云々という言い方については、実際の東大生を見てきた者としては反論したいところがありますね。
実際の東大生は、勉強ができるできないという尺度ではない賢さを備えている人たちが多いと感じます。
話してみると、気さくでおおらかな人が多いんです。
ガリガリしてないんです。気持ちに余裕があるというか。

「東大生を見てきた」とおっしゃる佐々木さんも、そんな東大生の一人ですよね。

いえ、私は年齢が高くなってから、社会人になってずいぶん経ってから入ったので、また違うんですよ。
若いときに入学された東大生の皆さんとは。
あの若くてエネルギッシュで自由な知性と感性は自分にはないもので、本当にすごいなあ、いいなあと思うんです。

もしかしたらそれは、彼らがまだ社会の波にもまれてないからだ、世間の厳しさを知らないからだっていう意見もあるのかもしれないですけど、私は、彼らが社会に入った後も、ずっと歳をとっていっても、今のまま気持ちに余裕をもって、知的好奇心を持ち続けてくださるといいなと思います。
知ることや学ぶことを面白いなって思える人。
知的に謙虚で、学び続ける人。
そこは、変わらずにいてほしいなと。

そうですね……。
すごくえらそうなことを言ってますけどね。
多くの東大生が自然にもっている知的好奇心とか、おおらかな気質とか、純粋な賢さが、社会に出ても伸ばしていけるといいなって。
私自身が、7年間そういった東大生たちの中にいられて、一緒に勉強したり、いろいろな話をしたりしてきましたので、本当にそう思います。
彼らと彼らの将来に、尊敬と憧れと楽しみな気持ちをもってるんです。

普段の学習用にもレポートの資料用にも、大量の文献を読み、調べ、借り出しに日参した法学部研究室図書室

300万点を超える学術標本を所蔵し、最先端の研究成果を一般にも公開している東京大学総合研究博物館(2020年11月現在休館中)

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東大生と勉強
東大生の皆さんは、大学では実際どんなふうに勉強されているんですか?

勉強のスタイルはそれぞれでしょうね。
並行して何科目もざっと勉強していくタイプなのか、少ない科目に集中して徹底的に勉強するタイプなのか。
じっくり時間をかけてやるタイプか、短期間に一気に頭に入れるタイプか。

大学の単位を取るための勉強についてはコスパ優先と割り切って、資格試験のための勉強や課外活動にとことん注力する人もいますし、楽に単位が取れるとかにはこだわらずに、勉強したいことを自分が納得いくまでとことん勉強する人もいます。
勉強しすぎて入院した人も。

えっ!
体調崩されたみたいです。
本当にとことん知を突き詰めるってすごいですよね。
すごいです……。
タイプはそれぞれでも、皆さん基本の能力値がすごく高くて、勉強の要領もわかっていらっしゃるということなんでしょうね、やっぱり。

基本値は皆さんすごく高いですよね。
要領については、東大生みんながそうではないと思います。
私みたいに、要領がよくないタイプの方も実際いらっしゃ……ったかどうかわかんないですけど、きっとどこかにいらっしゃったはず!(笑)

でも、いわゆる「要領がいい」というのとはちょっと違うんですけど、話の要点を把握するスピードは皆さん本当に速いです。
それも表層的な把握の仕方でなくて本質を理解していて、だからそのまま深い議論に突入することもできるんですよね。
少人数のゼミで毎週一緒に学んだときなんかに、そういう方たちをすぐ近くで見て、いつもすごいなと思ってました。

それと、量的にも、東大生ってやっぱりすごく勉強します。
図書館でも学食でも、キャンパスの中だけでなくて近くのカフェでも、本やノートやPCを開いて勉強してる学生がどこにでも見られるんです。
食堂に複数で集まっていても、勉強会や討論をしたり。
東大とその周辺では、勉強してる人々の姿は全然珍しい光景じゃないです。
本当に、ほっといても勉強してるんです、東大生って(笑)。

本郷キャンパス内にある和菓子カフェ「厨 菓子 くろぎ」(大学の入場規制に伴い2020年11月現在休業中)

ああ! 本当に勉強が好きな人は、誰に言われなくても、何か期限などがなくても、自分から勉強するんですよね!
そういう人にとっては、勉強することが平常運転というか、デフォルトの状態なんですよね。
勉強=苦痛とか大変とか面倒とかじゃなくて、勉強=面白い、楽しい、っていう。
佐々木さんも、ほっといても勉強する人ですよね。

(笑)。自分もたぶん、今はそのカテゴリに入るんだろうなと思います。

ところで、2年生のとき、政治学という講義が大教室であったんですけど、斜め前に座ってる人が、政治学とは関係なさそうに見える本や辞書を広げて、がりがり勉強されてたんです。
同時に政治学の講義も聴きながら、ですよ。
その方が使ってらしたのが何の辞書なのか気になってジロジロ見てたんですが、どうもギリシャ語の辞書で、何かの文献を翻訳されているみたいだったんです。
それも、おそらく授業とは別に、独自にされている勉強なんですよね。
ギリシャ語自体を語学として勉強してるんじゃなくて、ギリシャ語で書かれた文献を読み解いてるんですよ?
ギリシャ語が読めるのが前提ってことですよね。

本郷通り沿い、宮沢賢治『注文の多い料理店』にちなんだ店名をもつ「山猫軒」はレトロな雰囲気の落ち着いたレストラン(2020年2月閉店)

正門向かいに位置する昭和27年開業の「ルオー」は、多くの文学作品にも登場し、東大関係者に愛されてきた老舗喫茶店

大学2年生って20歳くらいですよね? いえ、もちろん歳ではないですけど、すごいですね……。

そのときはびっくりしましたけど、その後、英語はもちろん、ドイツ語もフランス語も、ギリシャ語もラテン語も、自分が関心のある文献を原文でばりばり読んでいるような方が東大に普通にいるということが周りを見ていくうちにわかってきました。
学生有志で定期的に集まって、難解な法学、社会学、哲学などの本の購読会をしている方たちもいらっしゃいました。

いやあ、憧れますね。
そういう人たちを目の当たりにできたことは、この年齢まで真面目に学ぶということをほとんどしてこなかった自分にとっては、ちょっとプレッシャーでもありましたけど、ものすごく刺激的で、ものすごく嬉しい体験でした。

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勉強の「過程」を楽しむこと。そして、大学の意義

私は、大学に入る前も、入ってからしばらくの間も、勉強していてわからないことに当たると、居心地の悪さというか、「いかんいかんこのままじゃ」みたいに、すぐにでもその「わからない状態」から抜け出さなきゃと思ってしまっていたんです。
「わからない状態」というのは良くない状態で、「わかった状態」に早く移行すべきなんだと思ってたんですよね。

でも、大学生として勉強しているうちに、勉強の過程というのは楽しめるものなんだ、過程を楽しんでいいんだ、と思えるようになっていきました。
そして、勉強の過程を楽しめるようになると、知らないことやわからないことがあってもあまり苦にならなくなったんです。
だって、その知らないことをこれから知っていくという楽しみがあるということですからね!

わからない状態も含めて勉強の過程を楽しむ!
大学生として、それは本当に理想の状態なのかもしれませんね!
そうですね。学生だけでなくて、努力の過程までも自分で楽しんで味わうというのは、仕事でも同じかもしれませんね。
もちろん、結果とか成果は大切なんですけど、自分を成長させるヒントや刺激は、結果だけでなく過程の中にもたくさん見つけられるように思うんです。
その過程で、それまで気づいていなかった自分自身を発見することにもつながったりすると思います。

水泳部(1884年創設)、陸上運動部(1886年)、漕艇部(1886年)、剣道部(1887年)、柔道部(1887年)、弓術部(1891年)をはじめとして、東大運動部には歴史と伝統のある部が多い

毎年5月に開催される「五月祭」は、学園祭ならではの華やかさと研究発表の場としてのアカデミックな内容の両面を楽しめる東大らしいフェスティバル(2020年は9月にオンラインで開催)

そういうところも含めて、佐々木さんが東大に行かれたことは本当に大きな意味を持つものだったんでしょうね……。

ええ、そう思います……。
大学という新しい領域に入ったことで、人との出会いもそうですし、大学生としての体験もそうですし、新しいものごとが自分の中にたくさん入ってきました。
机についてする勉強以外にも、たくさんの発見をし、知見を広め、新しい考え方を身につけることもできました。

もし、単に知識とか情報を得るためだったら、もしかしたら自分で本を読むとか人に聞くとかすれば足りたかもしれない。
そうだったら、大学に行かなくてもよかったのかもしれません。
でも、大学に行ったことで、知識や情報を得るということに限らず、そこに行かないと知ることができないことを知ることができたし、そこに行かないと見えない景色を見ることができたと思います。
それはすごく大きいことでした。

そこに行かないと知ることができないことを知ることができたし、そこに行かないと見えない景色を見ることができた……。

その中には、大人になってこのタイミングで東大に行ったからこそ得られたこと、見えたこともあったかもしれません。
勉強方面に限らず、声優としての自分にも、日々を生きる者としての自分にも、影響を与えたことはたくさんありました。
声優である自分と大学で学んだ自分が結合して、今の私という人格を作っているように思います。

知識の獲得ではなくて、ものを見たり考えたりする視点を獲得すること。
キャンパスで過ごした体験と、学問に携わる人々との出会い。
それらを通じて自分というものを発見したり、知ったりすること。
そういったことすべてが、私にとっての大学に行った意義なんだろうと思います。

私が行ったのが東京大学で、他の大学を知らないのでこうして東大のことを語っていますけど、今お話ししたことは私個人に限ったことでも東大に限ったことでもないんですよね、きっと。
別の大学に行かれた方も、独学や、大学ではないところで勉強されている方も、環境としては皆さんそれぞれでしょうけど、きっと誰にも共通して言えるのは、学ぶということは、自分を見つけて自分を知って、そこからまた先に進むための行動なんだということです。
勉強は、ただじっと座って頭に何かを詰めこんでいく作業ではなくて、自分に変化を起こす動的な行為、前に進んでいく「アクション」なんだと思うんです。

毎年10月開催「東京大学ホームカミングデイ」は、講演会、音楽祭、模擬授業、学年会(学部を超えた同窓会)、キャンパス見学ツアー、模擬店、利き酒会など内容豊富(2020年はオンライン開催)

東大教員が自らの専門分野の魅力を語る「高校生と大学生のための金曜特別講座」(東京大学教養学部開講)には全国の高校生たちがリアルタイムで参加し、教員に直接質問もできる

今後の更新情報はTwitterでお知らせします。

引き続きお楽しみに!

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